2020年12月14日月曜日

模写を堂々と表に出せなくなる人

コピー機にかけたように対象を手のもとにそっくり写す模写には、練習の手法として以外にも人の知能の精度とかそういうサイドから見ても機能美的な美しさとかすごさを感じる。

それなのにオリジナルや二次創作による、模写ではなくその派生を描くことにいざ目覚めてみると、思いのほか「よほどの精度でない限り、既に分かりきったものを写しても何も面白みはない」「著作権的にアウト」と吐いて捨てるように感じてしまっているなと思った、そんな話。

※断言口調とクソデカ主語で話してるけど個人の思いごととして見てください。頼む。あとなんか同じことを延々と書いてる気がする……。

アーティストとしての水準に立たされる

絵のところに数歩進んでみると絵描く人にとっての模写なんて料理人が卵割るのと同じくらい尻込みせずやれる(精度はさておき特徴を捉えたりするという点などで)ので、

料理人が卵割れることを誇張しないのと同様に、模写は誇張するほどのものではないという思い込みが起きる。

あと著作権を知り始めた後に模写というものを見ると、それはいわゆる対象をパクってテイストを変えて掲載する改造行為や無断加工であり、
その前に対象となる写真にすら著作権がついてると知ってしまったものだから、本来遊びとして描いて誰彼にも見て見てと見せびらかしていた模写は、違反行為に近いものとして見せなければOKという非常に肩身の狭いところまで落ちていった。
そういえば絵のトレス(薄い紙とか低アルファのレイヤかけてなぞるやつ)はOKか否かという話題で、結局は作品として出すのはアウト、というところに落ち着いた(ように見える)事案があったような……

成果vs経緯

精度の高い模写で人気を博す人たちがこの世にはたくさんおり、彼らの評価されるべきところはその読み取る精度と適切に色を選ぶ知識と正確に描き出す技量であり、そこに著作権とかオリジナリティとかで水を差す隙はほとんどない。
冒頭に挙げたとおり、人の身体が写真やコピー機に並ぶ精度にまで磨き上げられる事実と可能性の素晴らしさに感動する。
こういうところから模写というのは技術であり、技であり、スポーツと呼べそうなほどに磨き甲斐のある行為だということで、そのうえ誰もが扱っている道具で出来るからこそ、その技術の実感性は高く良い意味で独特なものになる。

個人的な話、思えばオリジナルを描くようになってからは模写を作品として掲げたことは一度もなくて、
たまにこういう練習頑張ってみたよという気持ちで模写をネットに掲載したことぐらいで、それは野球のバットを素振りして出来た血マメを見せているようなもので、実際に打球する姿を披露するような気持ちではなかった。

オリジナルをあまり意識して描いていなかった子供の頃はゲームのトリセツや攻略本にあるキャラクターのイラストを写して見せて楽しんでいたけど、それは血マメを見せるような頑張りの表明のほか、やはり模写を技術を表したひとつの作品として見せたいという気持ちも子供ながらに純粋に含んでいた。

結局は矜持

模写にそういういち技術証明としての面とただの修練としての面を持っていることはあんまり気づきにくいようで、その証拠としてオリジナルを描くようになってから模写は血マメ程度の扱いをするようになった自分がいる。
 「自分は他に同じもののないオリジナルを作品として描き出す」というセルフラベリングやプライドじみたものを持っている時に、「同じものをそっくり写した模写を作品とする」ことはそれらを大きく崩しうるもので、崩落という精神的な苦痛や屈辱(笑)を避けるためには模写を作品と捉えることは避けなくてはならなかった。

そして絵の伸び悩みを感じるときに模写をして練習するかと渋々重腰を上げるようなあの面倒くさいものに直面した感覚も、なぜ面倒くさく感じるのかを考えてみれば、
「労力がかかるうえに作品として発表できない」
「著作権を侵害しているかもしれない罪悪感」
「苦労が結実したかどうかが次にオリジナルを描くまで実感できない」
「正解が存在するため、(不可能であるにも関わらず)完全に似せるまで欠点だらけのものを作り出してしまう」
という悪印象の塊が面倒くささの本質だった。

全ては模写を技術証明のひとつとして認めるようになればこんな重荷を背負うことはなかった。と思う。

おわり

布団に入って小さいベッドランプのもとに紙敷いたクリップボード置いて、何となく本の表紙絵でも模写しよってなった時、模写ってあぁ本来こういうやつなんだよなって思ったのが始まりだった。
何度も言うけど 見つめている図が多少の瑕疵はあれど自分の手からそっくり描き出されてくる現象 を見た時やそれを自分がやったのだと自覚した時の感動はすごいし、それも実はオリジナルでも二次創作でもなく模写にしかないものだと思う。

あと模写を面倒くさがらなくなりたい。これが一番大事。

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