2020年3月16日月曜日

Devil Daggersによって顕わになる「狙い撃つ」だけの楽しさ

 

Devil Daggersはあなたの精神と技能を験します。


Devil Daggersというシューティングゲームの布教とレビューを兼ねたお話。長い。オタク特有の誇大表現みたいなやつがあるかもしれないので注意。
始めたての頃に書いた普通で健全なレビューは https://steamcommunity.com/id/AMPHASHx2109/recommended/422970/ を見てね。


どんなゲーム?

魔法の短剣を手に仕込み、無数に現れる骸骨を倒して避けながらどれだけ長く生き残るかを競う。


クリック長押しと短押しで、ブレのない連射と瞬間火力の高い散弾を使い分ける。
魔法の短剣は振り回すのではなく、悪魔的な力ですっ飛ばしてブッ刺していくスタイルだったのだ。
ちなみに弾数制限はない。

お気づきになったかもしれないが、なんと右手と左手すきなほうをオプションで選択できる。
人間よりも悪魔のほうが左利きに人権を与えてくれる。(機能面に差はない)
基本的には逃げつつ、撃ちつつ、生き残るだけ。ランキングは基本的に生存時間でつけられ、Web上のリーダーボードでは撃破数や命中精度などでソートし直せる。

走って撃って生き残ることに制限を課さない

エンドレス系のスコアタをやっていると、時々プレイヤーの行動を制限するトラップやシステムが登場するものがある。速度や威力が落ちてしまうなどのトラップもあるが、ステルスなどの隠密性を要するシステムや、単純にダメージの概念として体力や残機が減少するという当たり前のことも、失敗や行動に対して何らかのペナルティや制限を課すシステムと言える。

これはリプレイ時のみ見れる上空視点

このゲームにはそういったものがなく、縦横無尽に駆け回ってダガーをガンガンぶち撒けてもOKだし、そもそも潜伏したりされたりする障害物もないし、なによりフィールドにあるダガー以外の何かに当たれば即刻情け容赦なく死んでしまう。

残機やHPの概念がなく即刻死亡するという潔くも厳しいシステムは、逆に考えてみるとペナルティを与えられた状態で続行しなくてはならないダルさ、ザコ敵であれば当たっても大丈夫だというダラけた判断、HPが減っていくことによる焦燥感、まとめてドカンできる精密性を要さない武器、そういったものを無くすことでシューティングの「狙って撃つ」を大いに尊重することにも繋がる。

そうして、ただ確実に迫る死に対して回避か殲滅することだけを追求できるステージが出来上がる。



精神と技能を験すというキャッチは、単純にホラーテイストなシューティングゲームであることを表しているのではなく、「迫りくる絶対的な死だけに抗うための心と技、この2つを験す方法として導き出された最適解がここにある」ということだったのではないだろうか……

「結局信じられるのは腕だけ」と思わせる適度なランダム性とコスト調整

ただでさえ限られた火力のなかでデカい敵が運悪く連続で出たなどとなれば、それはスコアタではなくギャンブルなのだが、かといってランダム性がなければ単純にプレイ時間やデバイスの精度が生存時間の要となってしまう。

このゲームでは対戦でないため相手の強さ弱さにランダム性が入らない結構公平なシステムになっている……が、音ゲーのノーツのように毎回同じ場所で敵が現れるわけではない。

ただ固定されているのは何秒経過でどの敵が現れるかということだけで、プレイヤーに求められるアドリブは場所に関することだけになる。
その小さいアドリブをどう始末するかの積み重ねで生じる運勢の差は、いみじくもプレイヤーに「今回は運が悪かった」と感じさせないほどにうまくゲーム内に溶け込んでいる。(稀にクモの前にムカデが常駐する大事故はあるが)


ちなみに個人的な「ランダム性スコアタギャンブル化しがち現象調査」では、敵や障害物の規模が小さくて細かく大量に出現するゲームほどランダム性に重きを置かなくなり「運が良かった/悪かった」と感じることなくスッキリとゲームを終えることができるという結果が出ている。



また、さして狙わなくともまとめてドカンできる便利武器が無く…とは書いたものの、このゲームには赤石を集めてレベルアップすると右クリックでホーミングダガーを撃てるようになる。(あるじゃん!)

青白いのがホーミング
自動でいくつかの敵を通り魔して消える大変便利なシロモノだが、この挙動も近い敵を最初に狙うことを除けば大抵ランダムな上、次のレベルアップに必要な赤石を消費してしまうハイリスクハイリターンな悪魔の道具になっている。

そもそもプレイヤーの平均命中率は20%と低く、もともと好きなだけ撃っていいとはいえ狙いや誘導、始末する手筈が上手ければホーミングなど使わなくとも処理できるらしいし実際上位のプレイヤーは最後のレベルになるまで莫大な量の敵をホーミングなしで捌いているのである。

最も的確に狙った敵を撃ち殺したい時に最も大事なのは的確に狙って撃つこと(当たり前体操)であり、
最強なのは勝手に動くホーミングではなくやたらと光るゲーミングな腕とその腕に従順な通常のダガーなのだ。

サバゲーと射的屋

Devil DaggersはFPSに分類されるが、やっていることを現実のシューティング系娯楽に喩えると、様々な装備を用意して本格的に挑むサバゲーよりも、たまたま通りかかった射的屋でワンプレイ5発のマト当てをやる感覚に近い。

なぜなら武器の種類もゲームシステム射的屋の店主から渡された短剣長銃だけで、平たい台に身を預けるがごとく平滑なフィールドに降り立ち、大小様々なマトを狙い撃つだけで、複雑な戦略や立ち回りなどを考える必要がないから。


FPSはミリタリーやメカっぽいことが必ずあるイメージが少なくとも僕自身にはあったが、そういった要素が含まれなくても、「狙い撃つ」だけでFPSは完成する。
そして相手が人間であれ骸骨であれ人は🎶ものだったりする。そうでなければ射的屋を始めとしたダーツやビリヤードやクレー射撃やアーチェリーや弓道といったマト当ての文化やサッカーや野球やバスケはつまんないものとして消えているはずだし……。

遠方のゴミ箱にティッシュを投げて見事に入ったらちょっと嬉しいでしょ。そういうことだよ。


何をどう撃ち殺しても褒めてくれるような演出はなく、見事撃ち抜くことに成功した者の目にマトがブチ撒ける血や破片が焼き付けられ、その耳には確かに断末魔と潰れていく音が聞こえるだけだが、それだけでもう十分なのだ。
なぜなら狙って撃って相手がおっ死んでいく様子そのものが、「狙い撃つ」に対する成功の証であり、それを娯楽とする者にとっては何よりの悦びになるからだ。

様々な武器やフィールドや戦略性を兼ね備えたサバゲー施設が立ち並ぶSteamの世界に在るその静かな射的屋は、狙って撃つための短剣と狙って撃つためのマトを無限に揃えて待ち構えている。

498円で入店可能

おしまい

FPSに引け目を感じる人もいるかもしれないが、狙って何かを撃つことをゲームで最も忠実に再現する手法はやはり一人称視点だということが、このゲームで体感できるかもしれない。
ちなみにゲームパッドには対応していない(と思う)のでゲームパッドを持っていなくても大丈夫!さらにWindows/Mac/Linuxすべてに対応!セール時には300円くらいに下がった気がする。



ここまで読んでくれてありがとうございました。ここまで読めるならあなたはもう大丈夫です。地獄に来てください。

💀

Devil Daggersはあなたの精神と技能を験します。

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